境目がなくなるまで。

自由な国だから私が選ぶよ

もしも今の時代に「これ良いな」と思った曲がレコードでしか販売されてなかったら、

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私はおそらくその曲を手に入れること、聴くことを諦める。再生する機器もない、買いに行くのもめんどくさい。場所も取る。CDだって今そういうフェーズに移ってきてるんじゃないかと思う。

 

私は好きなアイドルがことごとくサブスクを解禁してなくて、CDを買うタイプのヲタクだから、今まで「CDは面倒くさい」という人の言葉に正直ピンと来てなかったけど、CDをレコードやカセットに置き換えて考えてみたら、なるほどな、と腑に落ちた。

 

曲を聴いて好きだと感じてくれた人が、媒体(サブスク等)がないという理由で諦めるなんてそんな悔しいことがあってたまるか。…と思いつつ、私は推し以外の「ちょっと興味がある」「ちょっと気になるな」という曲に対してそういう判断を下してる、実際。 

 

ちょっと気になる程度で気になった1曲のためにポンと千円二千円出せるかと言われたら、私はNOだ。アルバムならなおさら。私は気に入った、気になった「その曲」だけが聴きたい。

 

なにが出るかわからないままフルコースは選べない。単品料理で好きなもので固めたい。私はそんな性格なので。

 

そこから少しずつ曲を知り、音楽性を知り、人を知り、物語を知る。そうしてどんどんのめり込んでしっかりと予約をして「物」として手元に残したいと思うようになる。電撃が走ったように瞬間的に全てを好きになる、なんてこともなくはないけれど割合的に今までの経験上少なくとも私は前者で。

 

音楽業界も、経済・流通も、専門的な知識なんてないけれど、サブスク解禁すれば、おそらくCDの販売数が落ちるかもしれない。でも、曲に触れてくれる人数はどうだろう?長期的に見たら?

 

CDの利益とサブスクの一回あたりの再生数の利益を比較して、サブスクは還元率が低いからダメだという人もいる。わからんでもない…と思うと同時にふと考える。

 

例えば同じ曲(同じCD)を1週間に1枚、1ヶ月に1枚買うでもいい、それを5年も10年も継続して買い続けたことは………私はない。でも「曲を聴く」という点で考えたら5年も10年もなんなら20年以上ずっと聴き続けてる曲はある。

 

長期的に絶えず買ってもらえなくても絶えず聴かれる可能性はあるじゃない。(聴けるプラットフォームが続くかどうかという問題はあるけど)

 

昔からカラオケでいつも歌ってるけど、CDは持ってないって曲、きっとみんなもあるでしょう?そういう層にもリーチできるじゃない。買おうと思ったら売り切れてた!なんてこともないじゃない。検索したらそこにあるものでしょう?

 

「推しの曲が簡単に聴かれるようになってほしくない!」なんてツイートも目にしたんだけど、マジ???となってしまった。わかる人にはわかる、知ってくれる人は知ってくれてる、って、間口広げたらその「わかる人」や「知ってくれる人」が増えると思うんだけど…?この期に及んで、遠く行っちゃうみたいで嫌だとか安っぽくなるとかいう人の感情は、私にはよくわからないから難しい話…。

 

ふと耳にした時、シャッフルで他のグループがカバーしてくれた時、他界隈の人がSixTONESの名前を出してくれたとき、「お!聴いてみよ!」でサブスクならその場で1分かからず聴けるけど、そのテンションでCD買う?買ったところで届くの何時間後?

 

最初の一歩は低く手軽な方がいい。

一度歩き出せばもうこちら側なのだから。

 

ジャニヲタは他のグループに比べて母数が多いとは言え、近年日本で流行った楽曲の多くはサブスクやデジタルコンテンツからのもので、その再生数や認知度と推しの動画の再生数を比較すると、まだまだ閉鎖的で狭い世界でしか聴かれていないんじゃないか、もったいない、もどかしいなとぼんやり考えてしまう。(これはあくまで私の勝手な感覚)

 

流行はミーハーが作るなんて言うけれど、「この曲、なんか気になるな」「ちょっと好きかも」「みんなが聴いてるからとりあえず聴いておこう。」そういうはじめましてがあっていいと思う。ミーハーが嫌だと感じる人もいるかもしれないし、それを否定するつもりもないけど、私はその中の何割かがもっともっと深く好きになってくれたらいいと思うし、これはヲタクの贔屓目もあるかもしれないけれど、SixTONESの曲には触れれば伝わる、そういうパワーがあると思っている。

 

アイシールド21っていうアメフト漫画の中で「触れもしないスピードにはどんなパワーも通用しない」みたいなセリフがあるんですけど、逆説…じゃなくて、なんというのか、音楽も同じ(?)で、どんなにいい曲だとしても触れてもらえなければ伝わらないんじゃないかって思うんですよね。

MTVもそう、Twitterでもそう、「気になる!…Apple Music検索したけど出てこないよ?」「この曲良い!あ、サブクスないのか。残念。」「Spotifyにないんだけど…。」何度こんな類のつぶやきを見聞きしたか。触れてもらえる機会が目の前で流れていくこのもどかしさ。

 

テレビで、ラジオで、曲が流れて、そのあと配信されていないのに音楽配信サイトの検索履歴の上位に来てたりしてさ、求めている人がいるとわかるのに、でもそこに曲はなくて、できる限り取りこぼしたくなくて、ツベがあればそれを貼って、試聴しかなければそれを貼って、でも公式になければヲタクにこれ以上どうせいというのだ…。知人ならCDを貸すこともできるけど、そういうことじゃないじゃない。

 

Twitterでも言ったけど、例えば深夜のラジオ、街の有線、CM、もちろんテレビも。ふと耳にした曲に「良い!」となったとき、真夜中ベッドの上ですっぴんパジャマでも、移動中の車内でも、その熱量のままそのときに、試聴じゃなくワンハーフでもなく無断転載でもなく、公式の完全体の曲を気軽に手に入れて触れてもらえる環境が整ってほしいと思う。

 

明日買おう。そんな一晩寝て起きての気持ちと、「出会ったその瞬間」では天と地ほどの差があると私は思う。熱量そのままに触れてもらえるその環境、その武器を早く、早くと思いながら私は今日も機会損失TLを眺めている。